人間は古くから「土」や「大地」に特別な思いを抱いていました。今から3万年前のヨーロッパの旧石器時代の遺物に「地母神像」があり「母なる大地」を崇める「大地母神信仰」だとされています。この信仰は、人間は死ぬと山に帰って野獣になるというものです。いわゆる「山の神」でもありました。このような考え方は、古代文明が発生したギリシャやエジプトでも同様でした。
日本にも「山の神」信仰は存在しています。日本の「山の神」も一般的に女神であるとされており、山の民の間では山全体を守る神として恐れられた存在でした。ある説では「山の神」はたいへん醜いとされ、自分より醜いものがあれば喜ぶので、顔が醜いオコゼを「山の神」に供える習慣もありました。
しかし、農民の間では「山の神」は田植えの時に山から降りてきて「田の神」となり、秋には再び山に戻るという信仰があります。『古事記』には「大山津見神(おほやまつのかみ)」の娘「石長比売(いはながひめ)」が、山の神の一員であったという説話なども記載されています。また日本には「土を産む」と綴る「産土神(うぶすながみ)」信仰もあります。生まれた土地の守り神のことで、現在行われている赤ちゃんの宮参りは、この産土神に詣でることを言います。
ちょっと視点を変えて中国を見てみると、中国には、
(じょか)伝説があります。
は人の顔を持ち体は蛇の女神で、人類を創造したとされています。彼女は黄土の泥をこねて、自分の形に似せた小さな生き物を創り出し「人」と名付けました。
伝説によると、人間は黄土の泥から生まれたことになります。
ここに記載した以外にも中国や朝鮮半島、そして日本などの東アジアにはアニミズムやシャーマニズムの影響が色濃く残り、土や大地の物語を伝えています。これは人々が「土」すなわち大地や自然に対して、畏敬の念を強く持ち続けていることの表れではないでしょうか。

