株式会社YBK工業 代表取締役 山田 茂人
オリジナルの自然土舗装材「ガンコマサ」シリーズを開発・販売し、西日本を中心に各方面で高い評価を受けている株式会社YBK工業。会社設立の経緯やユニークな製品が開発された背景をはじめ、企業理念や今後の展開などを、代表取締役である山田茂人が説明します。
●自然土舗装材という新しいジャンルへ
─最初に、株式会社YBK工業の設立の背景や、どんな製品を扱っている企業なのか、簡単に説明をお願いします。

山田:株式会社YBK工業は、私の父であり、現会長でもある山田広之が、昭和36年に個人創業した「山田ブロック工業」としてスタートしました。当時の主力製品は、高度成長期で大きな需要があったコンクリートブロックです。その後、生コンクリートを扱うようになり、昭和48年には徳島市国府町延命に工場を建設するなど、事業規模の拡大にともない、3年後の昭和51年に「株式会社YBK工業」という社名に変更しました。
現在、弊社が開発・販売している製品には、車の駐車場に使われるパーキングブロックや、冷暖房の室外機の設置に用いるスライドブロックなどのコンクリート製品がありますが、何といっても一番力を入れているのは、平成10年から開発を開始した「ガンコマサ」に代表される自然土舗装材です。このシリーズは改良を重ね、3機種がラインナップされています。
─株式会社YBK工業の企業理念を教えてください。
山田:弊社の持つオリジナルのテクノロジーを使い、自然土舗装材などの製品を通じて、皆さまの生活環境を向上させるお手伝いをすること。これに尽きると思っています。さらにいえば「土を生かす」ことで、安らぎを感じていただければという思いや「土の文化」を感じてほしいという考えもあります。
─なぜ、自然土舗装材という新しいジャンルに着目されたのでしょうか?
山田:新製品を開発する方向性として「弊社の持つテクノロジーを生かすもの」と「時代にマッチしたもの」という2点は外せないという気持ちがありました。前者でいえば、プロフェッショナルとして砂や砂利、そして土にかかわってきたわけですから、他社には負けない固有の技術や知識の蓄積がある。後者で考えた場合、これからの日本は「高齢化社会」や「地球温暖化」といった問題点と向き合う時代が来る。何とか両者を組み合わせた製品ができないだろうか…。それはまだ、自然土舗装材というアイディアになる以前の段階でした。
あるとき、私は自宅で庭の手入れとして雑草を抜いていたのですが、こういった雑草を抜く作業は、高齢者が担当されるケースが多いということに気がつきました。考えてみれば、雑草を抜く作業は足腰をはじめとする体の各部に大きな負担がかかります。もし、この負担を軽減できる製品ができれば「高齢化社会」に貢献できるだろうと思いました。

また「地球温暖化」の問題でいえば、都市部の環境の悪化について考えを巡らせました。コンクリートやアスファルトに大半が覆われてコンクリートジャングルと化したため、ヒートアイランド現象などが起きている。それを解決するには、土の部分を多くすればいいのではないか。ただし、都市部で土を増やすと雨や雪でぬかるみができる、雑草の処理にコストがかかるという問題点を解決しなければならない。大変難しいことですが「弊社の持つテクノロジーを生かすもの」として、チャレンジのし甲斐があるものだと考えました。いわば、そこから自然土舗装材という未知のジャンルへの挑戦が始まったといえるでしょう。
─自然土舗装材「ガンコマサ」シリーズの特長を教えてください。
山田:限りなく自然に近い舗装材である「ガンコマサ」シリーズは、舗装することで雑草が生えてくるのを抑制する製品です。薬剤等を使っていないため、安全性が高く、適度な透水性があり、雨や雪が降っても水たまりができにくい特長があります。また、主な成分が乾燥マサ土と固化剤なので、施工した場所の景観を損なうこともありません。それから「ガンコマサ」は誰もが手軽に扱えるものにしようと考えていました。いくら優れたものであっても、専門家に依頼して費用と手間がかかるものにはしたくなかった。基本的に「ガンコマサ」シリーズは、敷設して散水するだけで翌日には固まり、効果を発揮します。
●今こそ「土の文化」を見直すとき
─さきほど、企業理念を伺った際に「土を生かす」「土の文化」という言葉がありましたが、具体的な例を挙げて説明をお願いします。
山田:そうですね。日本は「土の文化」であると同時に「木の文化」でもありますが、土に限っていえば、昔は日本家屋の土壁や土間、瓦屋根の裏側に至るまで、すべて土を使っていたわけです。いわば、土を生かした文化だったのですが、明治時代からヨーロッパの「石の文化」が入ってきた結果、現在でもコンクリートやアスファルトによる街づくりになっています。当時はすべてが西欧化、つまり近代化していく時代の流れであり、それが間違っていたとはいいませんが、現在の日本でいえば、ヒートアイランド現象などの弊害が出ている原因のひとつなのかもしれません。
ヨーロッパの気候や風土、人々の暮らしというのは「石の文化」が基本になっているところがありますが、日本では必ずしもそうではない。私たちは、さきほども申し上げましたように「土の文化」を持っているのです。
─日本古来の技術や姿勢に学ぶということも多いのでしょうか?

山田:もちろんです。たとえば、昔の日本家屋の土間をつくるときなどに使われていた技術に「たたき工法」というものがあります。セメントがない時代は、土木工事でも用いられていたのですが、すっかり姿を消してしまいました。大変手間がかかるし、時間もかかるものだったので、セメントにとって変わられたのは時代の流れですが、技術としては素晴らしいものでした。
なかでも、明治時代に服部長七という職人がいたんですが、この人が編み出した「長七たたき」は本当に素晴らしい。消石灰とマサ土を原料とし、叩き込むことで驚くほど硬く固めることに成功した結果、従来の「たたき」では考えられなかった河川の堤防や護岸といった大規模治水工事に取れ入れられています。しかも、100年以上経った現在でも、その多くが堅牢な姿で健在です。
現在の「たたき工法」を取り巻く状況は、服部長七の時代よりも良くなっています。原料も新しいものが出てきていますし、人力ではなく機械が導入されるようにもなっている。いくら昔の優れたものが廃れたからといって、そのまま復活させるのではなく、今の技術と融合させることが大切だと思います。いわば、進化した形で現代の日本にマッチする製品として甦らせなければならない。それが、私たちの使命だと思いますし、やらねばならぬことだと感じています。
●お客さまの喜びを原動力として
─株式会社YBK工業の今後の展開について教えてください。
山田:弊社の「ガンコマサ」シリーズは、西日本の一部と四国を中心に展開しているところなのですが、やはり全国のお客さまに使っていただきたい、喜んでいただきたいと強く思っています。
今まで培ってきた知識や現場での経験を生かし、社員が一丸となって「お客さまの生活環境を向上させる」努力を続けていくこと。そのためには従来製品の改良をはじめ、オンリーワンの新製品の開発だけではなく、全国への供給体制の確立やアフターフォロー、バックアップといった部分まで、しっかりと整備していくつもりです。
また、弊社の製品は、その半分以上が今まで公共工事で使われてきました。特に公園や道路の植樹帯などを中心に実績を残しており、技術力は十分にご信頼いただけるものだと自負しております。今後はさらに民間企業や個人のお客さまにも「株式会社YBK工業」の製品を広く使っていただけるように切磋琢磨を続け、皆さまのもとへ、より良いものがお届けできれば、これに勝る喜びはありません。
●山田 茂人プロフィール
昭和32年7月13日生まれ。徳島県徳島市出身。立命館大学経営学部卒。昭和58年入社、昭和62年より現職。血液型はAB型。もっとも尊敬する人物は坂本龍馬。座右の銘は「行動なくして進化なし」。好きな作家は村上龍。好きな食べ物はアジフライ。